[アーチスト]
演奏:Musica Ficta
指揮:Bo Holten
録音:2005年3月1-3日 デンマーク、コペンハーゲン、聖パウル教会
[アルバム名]
SEISED BY SWEET DESIRE
甘き欲望にとりつかれ〜歌う修道女と淑女たち
[曲目]
Notre-Dame Repertoire
ノートルダムのレパートリー
01. Pérotin: Alleluja, v. / Posui adiutorium. Organum triplum
ペロタン(1180-1225):アレルヤ、われは援助を与え
02. Pérotin: Viderunt omnes. Organum quadruplum (1198?)
ペロタン:すべての国々は見たり
Women Trouveres
作者不詳:女吟遊詩人たち
03. A vos vieg, chevalier sire / Et florebit
騎士よ、私はあなたの元へ
04. Je sui jonete / Hé Diex! je n'ai pas mari / Veritatum
私は若く可愛らしい
05. Soufrés, maris, et si ne vous anuit
忍耐強く、私のだんなさま
06. S'on me regarde / Prenés I garde / He! Mi enfant
もし誰かが私を見ていたら
07. Cil bruns ne me meine mie / In seculum
黒髪の彼は私を修道院から連れ去ってくれない
08. Nus ne mi pourroit / Nonne sui, nonne, laissier / Aptatur
誰も私を慰めてくれない
09. Jolïement en douce / Quant voi la florete / Je sui jolïete / Aptatur
甘き欲望に取りつかれ
Notre-Dame Repertoire
ノートルダムのレパートリー
10. Pérotin: Sederunt principes. Organum quadruplum (1199?)
ペロタン:王たちは座り
11. 《Mors》, clausula
作者不詳:クラウズラ「死は」
12. Léonin: Non vos relinquam (ca. 1170), Homo quo vigeas (ca. 1200)
レオナン(1150-1201):われ汝を遣わして孤児とはせず
[コピー]
神の祈りも、ちょっぴりエッチな歌も
女性が全部まとめて歌ってしまいます
☆ひとこと感想☆
Musica Ficta(合唱)と Bo Holten(指揮)の組み合わせで、最初に聴いた
のが「デンマークのクリスマス」というCDで、次に聴いたのがオケゲムの
「レクイエム」で、いずれも伸びがある響きで端正な作りの非常に心地よい
混声合唱(いずれも NAXOS)。たまに引っ張り出して聴くお気に入りの2枚である。
今回のCDは、この時代のものは時代考証的にカウンターテナーの演奏が多いのに、
あえて逆らった女声のみの演奏である。日本語の解説ででも、
「歌詞の内容も女性たちの切実な願望が隠されているものが沢山あるので、
(中略)女性たちが歌っていなかったはずはありません」と述べられている。
男声の裏声よりも女声の方が好きなので、僕にはうってつけの演奏だ。
演奏は期待を裏切らず、とてもレベルの高いものだった。フランス語の曲を
挟むようにして並べられているペロタンの曲は、独特の不思議な響きが緻密に
作られている。このデンマークの指揮者はやはり凄い人のようだ。
03.〜09.のフランス語の歌は、英語の訳をざっと眺めただけだが、
女性の欲望がさらけ出されている感じがとても面白いし、またそれを俗っぽく、
しかしアンサンブルとして逸脱しない範囲内でまとめあげているところに
好感が持てる。楽譜が手に入るようならば、女声合唱のレパートリーとして
演奏するのも良いかもしれないと思った。
(2010.3.21,22 記)
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