2019年08月のえっせい

◆ 2019年08月14日(水)　Ｈｉｓｐａｎｉａ　Ｖｅｔｕｓ

　ラウデージ東京の立教大学でのレクチャーコンサートも３年連続での開催（一昨年、昨年）となり、大分環境にも慣れた感じがした。しかし今回も鬼門であるビクトリアの雅歌モテットの「07. Victoria: Vadam et circuibo」があり、自分も含め、演奏者全体がビクビクものでの本番であった。結果的には一度も落ちることなく、きちんとハモりながら曲を終了出来たので、初めて本番で成功したと言っても良いだろう。

　この曲は自分にとっては、１回目の２０１２年の「根津教会の悪夢」（今回勝手に命名）、２回目の２０１４年の「上智大学の克服」（今回勝手に命名）で、とにかく怖い曲である。しかも今回は一緒に同じパートを歌ってくれる相手がいない（過去２階は望月裕央さんと２人で同じパート）。テノール２パートはそれぞれ１人づつなのだ。しかし今回大きな助けになってくれたのが、ヴィオラ・ダ・ガンバのお２人で、テノールのそれぞれのパートを一緒に演奏していただけたのだ。とはいえ実際に本番ではガンバの音が殆ど聴こえない。しかし落ちても音が存在してくれている安心感を与えてくれたのが大きい。演奏後、僕と同じパート演奏していただいていたガンバ奏者が、「ごめんなさーい」と言って来たので何事かと思ったら、一箇所楽譜のページを２ページめくってしまい、しばらくの間落ちていたのだそうだ。そんなこともつゆ知らず・・・もし逆に聴こえていたら・・・想像するのも恐ろしい。

　第１部はソリもあったりと緊張の連続だったが、第２部は伸び伸びと歌えた気がする。心残りは楽譜上は男声合唱の「16. Cornago: Missa Mapa mundi」が、種々の都合により器楽演奏になってしまったことだろうか。とても良い曲なので、どこかの機会で歌で合わせてみたい。

　次回の【Ｌ】のクリスマスの時期の１２月２１日（土）に自主公演を八王子復活教会で行う予定なのであるが、僕自身は都合がつかず、パスさせていただくことにしている。そのため【Ｌ】の練習もしばらくお休みするが、また年明けくらいからラウデージ東京の皆さんと一緒に音楽を作っていくことが出来るようになるのを楽しみにしている。

立教大学教会音楽研究所主催　2019年度　レクチャーコンサート

Ｈｉｓｐａｎｉａ　Ｖｅｔｕｓ

　　　日時：２０１９年７月２０日（土）　１８：３０開演（１８：１５開場）
　　　場所：立教学院諸聖徒記念礼拝堂（立教大学池袋キャンパス）
　　　監修・指揮：杉本ゆり
　　　演奏：ラウデージ東京
　　　器楽：ヴィオラ・ダ・ガンバ、リコーダー、ゴシックハープ、打楽器

演奏曲目

　　　第１部

　　　朗読：セビリアのイシドルス: Etymologiae 語源論より、アレルヤについて

　　　　01. Tres pueri（モサラベ聖歌、7世紀頃）
　　　　02. Gustate et videte（同上）
　　　　03. Congaudeant Catholici（Codex Calixtinus,ヤコブ典礼より、12世紀）
　　　　04. Araux: Canto llano de la Immaculada（ビリャンシーコ、17世紀）
　　　　05. Dum pater（Codex Calixtinus、ヤコブ典礼より）
　　　　06. Regi perhennis（Codex Calixtinus、同上）

　　　朗読：十字架の聖ヨハネ: Por toda la hermosura どんな美にも私は決して迷いはしない

　　　　07. Victoria: Vadam et circuibo（雅歌モテット、16世紀）
　　　　08. Cuncti simus（モンセラート写本、14世紀）
　　　　09. O virgo（同上）

　　～休憩～

　　　第２部

　　　朗読：十字架の聖ヨハネ: Tras de un ajoroso lance 愛の一攫千金をねらって

　　　　10. Lamentatio（モサラベ聖歌）＋Victoria: Amicus meus
　　　　　　＋Popule meus（聖週間のレスポンソリウム）
　　　　11. Victoria: Vexilla regis（トレド聖歌に基づく聖金曜日のイムヌス）
　　　　12. Pange lingua gloriosi（トレド聖歌）
　　　　13. Ruffo: La gamba（器楽合奏）

　　　朗読：プルデンティウス：Perstephanon 殉教録より

　　　　14. Sancta Maria stella do dia（カンティガ100番）
　　　　15. Magi videntes（プルデンティウス作、スペイン古聖歌）
　　　　16. Cornago: Missa Mapa mundi（ミサ曲、15世紀）
　　　　17. Tau garco（カタロニア語エンサラーダ）

　　　アンコール

　　　Veante（16世紀、作者不詳ビリャンシーコ）

(2019.7.28,8.14 記)